チュートリアル
トリガの使用
測定(シーケンス3:ACQuire)
本製品には、電圧、電流の測定値を返す機能があります。最も簡単な測定方法は、 MEASure コマンドを使用します。トリガ機能は使用しません。
MEASure コマンドは新規測定をただちに開始します。毎回新規測定を開始するため、複数項目の測定では同時性が失われます。「上級測定」で示す方法では、測定の開始動作とデータ照会動作を分離できます。
電圧、電流の測定は以下のクエリを使用します。
:MEASure:VOLTage? '電圧出力の問い合わせ
:MEASure:CURRent? '電流出力の問い合わせ
本製品では、新規測定の開始とデータ照会をする READ コマンドもサポートされています。READとMEASureはエイリアスで、まったく同じ動作になります。
上級測定
TRIGger:SEQuence3 (または TRIGger:ACQuire ) サブシステムを使用すると、 測定の開始とデータ照会を分離して制御できます。
新規測定を開始するにはトリガソースに IMMediate を選択し、 INITiate コマンドを使用します。
:TRIGger:SEQuence3:SOURce IMMediate 'トリガソースをIMM に設定
:INITiate:SEQuence3 'シーケンス3のイニシエート
シーケンス 3 グループをソフトウェアトリガで測定開始させる場合には、トリガソースを BUS に変更します。
:TRIGger:SEQuence3:SOURce BUS 'トリガソースをBUSに設定
:INITiate:SEQuence3 'シーケンス3のイニシエート
:TRIGger:SEQuence3 'シーケンス3にソフトウェアトリガを与える
測定が完了すると、測定データは FETCh クエリコマンドで取得できます。
:FETCh:VOLTage? '電圧出力の問い合わせ
:FETCh:CURRent? '電流出力の問い合わせ
TRIGger:SEQuence3:SOURce コマンドはトリガソースを BUS または IMMediate に設定します。 INITiate:SEQuence3 はTRIGgerサブシステムを IDLE 状態から抜けてトリガ機能を開始(イニシエート)します。トリガソースが IMMediate に設定されている場合には、ただちに測定動作を開始します。トリガソースが BUS に設定されている場合には、TRIGgerサブシステムは WTG( Waiting For Trigger)状態になります。 TRIGger:SEQuence3 または *TRG コマンドによってソフトウェアトリガが与えられると、測定動作が実行されます。動作が完了すると、TRIGgerサブシステムは再び IDLE 状態に戻ります。トリガを実行しないで ABORt または同等なコマンドが送信されると、測定動作はキャンセルされてTRIGgerサブシステムは IDLE 状態に戻ります。
ABORt コマンドと IEEE488.1 sdc/dcl コマンドは現在進行中の測定動作を中止します。既に取得済みの測定データを無効化する機能はありません。一方、 *RST と*RCL 共通コマンドは測定動作を中止するだけではなく、取得した測定データを無効化します。 *RST;:FETC:VOLT? コマンドを送信しても、 FETCh クエリで問い合わせが可能な測定データも、新規測定の予定も無いためにエラーになります。
MEASure(またはREAD) コマンドと FETCh コマンドの違いは、 MEASure コマンドが新規測定を開始して測定データを問い合わせするのに対して、 FETCh コマンドは新規測定をしないで測定データを問い合わせます。有効な測定項目は、 MEASure と FETCh とでは完全に同じです。
測定データは、4 ms毎に測定して64回の移動平均値を測定データキャッシュに保存します。移動平均値は、INIT:SEQ3を受信後、測定を開始してから4 ms後に返します。INIT:CONT:SEQ3設定のオンオフにかかわらず、4 ms毎の測定を行い64回の移動平均値をパネルに表示します。
INIT:SEQ3/INIT:NAME ACQコマンドは、現在の測定データキャッシュに保存された有効な測定データを無効にして新たな測定を開始するコマンドで、新規の測定データは4 ms後に確立されます。
SENSe:AVERage:CLEarコマンドは、キャッシュに保存された測定データをクリアして64回の移動平均値が確立するまではFETCコマンドのクエリを返しません。このSENSe:AVERage:CLEarコマンドは、設定電流を頻繁に変更、または急激な変化をさせて電圧または電流値をモニタする場合などに、測定データとして生成された64回の移動平均値のデータをすべてクリアするコマンドです。従って新たな64回の移動平均値は、コマンドを送信してから、256 ms後に生成されます。
自動継続
各トリガに対してイニシエートコマンドを毎回送信しないで自動継続するには、CONTinuous オプションを使用します。これは、本製品がローカル状態で動作している時のように、測定データの自動更新を許可します。
INITiate:CONTinuous:SEQuence3 ON
自動継続モードがオンになっているときは、測定データと前面パネルの表示部は内部のトリガループによって自動更新されます。この状態では、 MEASure/READ/FEChクエリコマンドは同じように動作します。新規測定は自動的に繰り返されます。この場合、複数回のFETCh クエリが異なる測定結果をもたらし、同時性が失われます。自動継続モードがオンになっているときには、中断されてもTRIGgerサブシステム が自動的に IDLE 状態を抜け出すため、 ABORt コマンドは無視されます。
*RST コマンドは 自動継続モードをオフ にリセットします。
動作の完了待ち
*OPC コマンドには動作完了を待つ機能があります。出力オン/オフ ディレイ機能を使用している場合には、このコマンドは設定したディレイ時間(最大10秒)がかかります。
*OPCコマンドを送信すると、本製品はOperation Complete Command Active State (OCAS)に移行します。動作が完了して、ほかの待機中動作が無い場合には、本製品はOperation Complete Command Idle State (OCIS) に戻り、Standard Event Status Register のOPCビット(bit 0)をTRUE(1)に設定します。この情報は*ESR? クエリのOPCビット(bit 0)で確認できます。
次に、出力オン/オフ ディレイ動作を開始して*OPCコマンドを送信する例を示します。Standard Event Status Enable RegisterとService Request Enable Registerが、動作完了イベントに対してSRQを発生するように調整されているため、遅延動作が完了するとSRQ (Service Request) が発生します。
*ESE 1;*SRE 32;*CLS;:INITiate:SEQuence2;*TRG;*OPC
*OPCコマンドを使用する替わりに*OPC?クエリコマンドを使用すると、本製品はOperation Complete Query Active State (OQAS)に移行します。測定が完了して、他の待機中動作が無い状態の場合には、本製品はOperation Complete Query Idle State (OQIS)に戻り、出力キューに応答データ"1" (NR1 format )を設定します。
電源オン時のデフォルト、IEEE488 sdc/dcl、*RSTを受けた場合には、本製品はOCIS状態、OQIS状態になります。
NOTE
RS232Cインターフェースを使用する場合には、SRQ機能は使用できません。*STBクエリのMSSビットをSRQ機能と同じように使用できます。 |