チュートリアル
測定
最も単純な測定手順
本製品には、電圧、電流、電力の測定データを返す機能があります。最も単純な測定手順は、MEASure?クエリを使用します。MEAS?クエリを送信すると、一部の測定条件設定がデフォルトになって、最小限度の手間で測定データを取得できます。
MEASure?クエリは、一部の測定条件をデフォルトにするため、積算電流/積算電圧/積算時間は測定できません。積算中にMEASure?クエリを送信するとエラー(-221, Settings conflict)が発生します。
MEASureクエリは本製品の測定条件を一部デフォルトに設定して、新規測定を開始します。毎回新規測定を開始するため、複数項目の測定では同時性が失われます。
MEAS?クエリを使用すると、計測器に関する詳細な知識が無くても簡単に測定できます。その反面、測定機能に関する設定値を一部デフォルトにしてしまうため測定条件を詳細に設定できません。もう少し細かい設定条件で測定するには、設定値を指定してREAD?クエリを使用します。MEAS?クエリは、*RST、SENS:CURR:RANG:AUTO OFF、SENS:VOLT:RANG:AUTO OFFコマンドとREAD?クエリを組み合わせた動作と同じです。
電圧/電流の測定
MEASure:VOLTage:AC? '電圧の問い合わせ
MEASure:CURRent:AC? '電流の問い合わせ
もう少し柔軟性のある測定手順
READ?クエリを使用した測定手順は、「測定条件設定」と「測定の開始とデータ取得」が分離します。
測定条件を設定して、READ?クエリで測定を開始できます。
SENS:CURR:RANG:AUTO ON '電流レンジをオートに
SENS:FILT ON 'ローパスフィルタをオンに
READ:CURR:CRES? '電流クレストファクタの問い合わせ
(レスポンスの読み込み)
FETC:VOLT:AC?;CRES?;AMPL:MAX? '電圧値の問い合わせ
(レスポンスの読み込み)
開始した測定動作を中断したい場合には、ABORtコマンドを使用します。*RSTコマンド、IEEE488.1 sdc/dclでも中断できます。*CLSコマンドでは中断できません。測定が開始されると、測定条件やトリガに関する設定はできません。これらを再度設定できるのは、測定が完了または中断した後です。READ?クエリを使用した測定手順は、測定条件設定を細かく指定できる点では柔軟性があります。READ?クエリは測定開始機能を兼ね備えていて送信するたびに測定するので、測定タイミングという点ではまだ柔軟性がありません。測定タイミングを詳細にプログラミングしたい場合には、INITとFETCコマンドを使用して「測定開始」と「データ取得」を分離します。READ?クエリは、INITコマンドとFETC?クエリを組み合わせた動作と同じです。
最も柔軟性のある測定手順(上級測定)
INITコマンドとFETC?クエリを使用した上級測定は、「測定の開始」と「データ取得」が分離するので、最も細かい制御ができます。INITは試験の開始を指示します。FETCは完了した測定データを問い合わせます。ソフトウェアトリガを使用して測定開始のタイミングを管理する場合には、INITコマンドとFETC?クエリを使用する必要があります。
状態
シーケンス動作では、3つの状態(IDLE状態、INITiated状態、WTG状態)があります。→詳しく見る
電圧/電流/電力測定
新規測定を開始するにはトリガソースにIMMediateを選択して、INITiateコマンドを使用します。
TRIGger:SOURce IMMediate 'トリガソースをIMMに設定
INITiate 'イニシエート
ソフトウェアトリガで測定開始させる場合には、トリガソースを BUS に変更します。
TRIGger:SOURce BUS 'トリガソースをBUSに設定
INITiate 'イニシエート
TRIGger 'ソフトウェアトリガを与える
測定が完了すると、測定データは FETCh クエリコマンドで取得できます。
FETCh:VOLTage:AC? '電圧の問い合わせ
FETCh:CURRent:AC? '電流の問い合わせ
FETCh:POWer:AC:REAL? '有効電力の問い合わせ
FETCh:POWer:AC:APParent? '電力皮相電力の問い合わせ
TRIGger:SOURce コマンドはトリガソースを BUS または IMMediate に設定します。 INITiate はTRIGgerサブシステムを IDLE 状態から抜けてトリガ機能を開始(イニシエート)します。
トリガソースが IMMediate に設定されている場合には、ただちに測定動作を開始します。トリガソースが BUS に設定されている場合には、TRIGgerサブシステムは WTG( Waiting For Trigger)状態になります。 TRIGgerまたは *TRG コマンドによってソフトウェアトリガが与えられると、測定動作が実行されます。動作が完了すると、TRIGgerサブシステムは再び IDLE 状態に戻ります。トリガを実行しないで ABORt または同等なコマンドが送信されると、測定動作はキャンセルされてTRIGgerサブシステムは IDLE 状態に戻ります。
ABORt コマンドと IEEE488.1 sdc/dcl は現在進行中の測定動作を中止します。既に取得済みの測定データを無効化する機能はありません。一方、 *RST コマンドは測定動作を中止するだけではなく、取得した測定データを無効化します。 *RST;:FETC:VOLT:AC? コマンドを送信しても、 FETCh クエリで問い合わせが可能な測定データも、新規測定の予定も無いためにエラーになります。
MEASureやREADコマンドと FETCh コマンドの違いは、 MEASure/READコマンドが新規測定を開始して測定データを問い合わせするのに対して、 FETChコマンドは新規測定をしないで測定データを問い合わせます。