交流電源 PCR-LEシリーズ

応用編


コンペンセーション(電圧補償)機能を使用する

コンペンセーション機能は、本製品から遠い場所に負荷が接続されている場合に、負荷線による電圧降下を補償します。本製品には、ソフトセンシング、ハードセンシング、レギュレーションアジャストの3種類があります。用途によって使い分けてください。

ハードセンシングとソフトセンシングの配線

レギュレーションアジャストの配線

コンペンセーション機能の設定手順

センシング機能の確認(レギュレーションアジャスト機能を除く)

単相3線出力時と三相出力時(オプション)は、レギュレーションアジャストは無効です。

58674.jpg 警告

感電の恐れがあります。

負荷やセンシング線を接続する前に、POWER スイッチを オフ にして、入力電源プラグをコンセントから抜くか、分電盤からの給電を遮断してください。

ターミナルボックスのカバーは確実に取り付けてください。

 

ハードセンシング

本製品内部の出力電圧補正ポイントを直接負荷端に接続します。リアルタイムに補正がかかるため高速に出力電圧を安定化できます。

負荷端までの電力線のインピーダンス(抵抗とインダクタンスの合成)が補償回路内に入るため電力回路の安定性が低下します。配線や負荷の種類によっては不安定動作(発振など)になる場合があります。不安定動作になる場合には、ソフトセンシングを使用してください。

出力電圧の応答速度を要求されない負荷の場合には、ソフトセンシングの使用をお勧めします。

以下の状態ではハードセンシングを選択できません。

出力オン

出力インピーダンスを設定している(ON)

レスポンスで通常速度(MEDIUM)と高速応答(FAST)選択時

ソフトセンシング

センシングポイントの電圧を本製品の測定機能によって測定して、電圧の不足分を自動的に補正します。電圧の安定度、負荷電流の急変による出力電圧の応答性、波形の質(歪率)などにおいて、本製品の通常の性能より低下します。

DCモードでも、通常の直流電源のリモートセンシングより性能が低下します。

ソフトセンシングにより補正できる電圧は、本製品の出力電圧の±10 %までです。補正時の最大出力電圧は本製品の定格電圧で制限されます。

周波数が40 Hz未満の場合には、ソフトセンシングは無効です。

以下の状態ではソフトセンシングを選択できません。

出力オン

AC+DCモード選択時

出力インピーダンスを設定している(ON)

電流リミット値を超えたときの動作が出力をオフしない(DISABLE)

波形バンクを指定している

電源ライン異常シミュレーション実行中

シーケンス動作実行中

ソフトスタートオン

レギュレーションアジャスト

出力電流による電圧降下を計算して、その降下分だけ出力電圧を上昇させる機能です。

本製品と負荷との間が遠く離れていて、負荷端の電圧を安定化させたい場合に使用します。ハードセンシング機能やソフトセンシングで接続するセンシング線を必要としません。

電圧の安定化精度・歪率・応答速度が、本製品の通常の性能より低下します。用途によっては、使用できないことがあります。動作を確認して使用してください。

レギュレーションアジャストにより補正できる電圧は本製品の出力電圧の+10 %までです。補正時の最大出力電圧は本製品の定格電圧で制限されます。出力電流が定格最大電流の10 %以下の条件では、電圧補償されません。

以下の状態ではレギュレーションアジャストを選択できません。

出力オン

AC+DCモードまたはDCモード選択時

出力インピーダンスを設定している(ON)

電流リミット値を超えたときの動作が出力をオフしない(DISABLE)

波形バンクを指定している

電源ライン異常シミュレーション実行中

シーケンス動作実行中

ソフトスタートオン

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ハードセンシングとソフトセンシングの配線

負荷線(LとN)をツイスト(撚る)して、出力端子と負荷の間を最短で接続してください。ツイストできない場合には、互いに沿わすように配線して、結束バンドで何カ所か留めることをおすすめします。

センシングは、片道で約1.5 Vまで補償できます。負荷線の電圧降下が補償電圧を超えないように、十分な電流容量の電線を選択してください。

本製品の出力電圧設定値が小さくなるにしたがって、検出電圧も小さくなります。本製品の出力電圧設定値が小さい場合は、負荷への配線を太く短かくするなどして、電線による電圧降下をできるだけ小さくしてください。

58646.jpg 注意

本製品や負荷の故障の原因となります。センシング線が外れたり極性を間違えると出力に過電圧が発生します。保護機能が作動して出力がオフになりますが、保護機能が作動するまでの数百ミリ秒間は過電圧を生じます。

 

端子台トレーを引き出して、センシング線を取り付けます。センシング端子へ使用できる電線の導体サイズはAWG22~AWG16です。電線の被覆は約10 mm取り除いてください。

33673.jpg 

1

POWERスイッチがオフになっていることを確認します。

2

負荷の電源スイッチがオフになっていることを確認します。

負荷の電源スイッチをオフにできない場合には、センシング専用の端子台を設けてください。センシング専用の端子台には、負荷を接続しないでください。

3

本製品のSENSING端子N側と試験する機器のN側をセンシング線で接続します。同様にSENSING端子L側と試験する機器のL側を接続します。

配線は、負荷に最も近いところに接続してください。

単相3線出力時と三相出力時(オプション)の配線

単相3線出力時

各相出力線(LとN)を負荷端(センシングポイント)まで接続します。

39925.jpg 

三相出力時(三相4線結線)

各相出力線(LとN)を負荷端(センシングポイント)まで接続します。

65316.jpg 

三相出力時(三相3線結線)

三相3線結線は、不平衡負荷時に出力電圧の安定度が低下します。ハードセンシング時には、不安定な動作になる場合があります。

PCR-LEシリーズのOUTPUT端子台N端子とSENSING端子台のN端子の接続は、できるだけ短く配線してください。中央に置いたPCR-LEにすべて接続します。

39894.jpg 

コンペンセーション(電圧補償)機能を使用する(続き)

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レギュレーションアジャストの配線

負荷を接続した後に出力をオンにして、負荷端で必要な電圧に出力電圧を設定します。負荷端では、負荷線による電圧降下のため、電圧は本製品の電圧より低下します。負荷端の電圧が必要な電圧となっていることを確認するため、電圧計などを用意してください。

レギュレーションアジャストにより補正できる電圧は本製品の出力電圧の+10 %までです。

33721.jpg 

 

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コンペンセーション機能の設定手順

センシングポイントにおいて安定化させたい電圧と周波数を設定します。DCモードでは、電圧だけを設定します。

OTHER (SHIFT+MEMORY) > 1/3(F6) > COMPEN(F2)を押して、コンペンセーション機能を設定します。

33731.jpg 

項目

タイトル

説明

設定できない条件

有効モード

OFF

Compen
sation

コンペンセーション(電圧補償)機能を使用しない

なし

すべて

SENS.-H

ハードセンシングを使用する

出力:オン

出力インピーダンス:設定している

レスポンス:MEDIUMまたはFAST

SENS.-S

ソフトセンシングを使用する

出力:オン

出力インピーダンス:設定している

電流リミット値を超えたときの動作:DISABLE

波形バンク:指定している

ソフトスタート:オン

電源ライン異常シミュレーション:実行中

シーケンス動作:実行中

AC、DC

REG ADJ*1

レギュレーションアジャストを使用する

負荷に実際に電流を流して、負荷端に接続した電圧計を見ながらロータリーノブで設定電圧値と同じ電圧になるように調整します。

AC

*1. 単相3線出力時、三相出力時(オプション)は無効

周波数が40 Hz未満の場合には、ソフトセンシングは無効です。出力がオンでソフトセンシングが無効の場合には、画面に「SENS」と表示されます

83815.jpg 

レギュレーションアジャストを調整する

レギュレーションアジャストは、OTHER (SHIFT+MEMORY) > 1/3(F6) > COMPEN(F2)でREG ADJ(F4)を選択した後に、調整が必要です。

実際に負荷に電流を流して、負荷端に接続した電圧計を見ながらロータリーノブで設定電圧値と同じ電圧になるように調整します。

調整が終了したらESCキーを押して、ホームポジションに戻ります。

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センシング機能の確認(レギュレーションアジャスト機能を除く)

ハードセンシングとソフトセンシングを使用する場合には、センシング線の配線が終了したら、配線に異常がないか確認します。負荷の電源スイッチがオフの状態で確認します。

1

POWERスイッチをオンにします。

2

出力低電圧保護(UVP)を5 Vに設定します。

3

出力過電圧保護(OVP)を20 Vに設定します。

4

出力電圧レンジをHレンジにします。

5

出力電圧を10 Vに設定して出力をオンにします。

6

数十ボルトの電圧が出力されていないか確認します。

出力が出た場合は、接続異常です。センシング線が外れていないか、極性が間違えていないか確認してください。センシング線が外れていたり極性を間違えたりしていると、保護機能が作動するまでの約1秒間、負荷端(センシングポイント)に電圧が印加されます。

センシング線が確実に結線されていないと、アラーム(ALM-07: UVPまたはALM-22: SENSING FAILURE)が発生する場合があります。センシング線の極性が間違っていると、アラーム(ALM-00: OVP)が発生する場合があります。正しく結線してください。

センシング専用の端子台を設けている場合には、センシング機能の確認後に端子台に負荷を接続して使用してください。

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