交流電源 PCR-LE2シリーズ
付録
定格電流値は、出力条件(出力電圧、周波数、負荷力率)によって自動的にディレーティング(低減)されます。
出力電圧率:
出力電圧100 V(Lレンジ) / 200 V(H レンジ)を 100 % とした時の百分率です。
出力電流率:
定格最大出力電流を100 % とした時の百分率 です。
瞬時ピーク電流率:
定格最大出力電流を100 % としたときの瞬時ピーク電流の百分率です。
定格最大出力電流:
単相出力
|
PCR 6000LE2 |
PCR 9000LE2 |
PCR 12000LE2 |
PCR 18000LE2 |
PCR 27000LE2 |
Lレンジ |
60 A |
90 A |
120 A |
180 A |
270 A |
Hレンジ |
30 A |
45 A |
60 A |
90 A |
135 A |
単相3線出力/三相出力
|
PCR 6000LE2 |
PCR 9000LE2 |
PCR 12000LE2 |
PCR 18000LE2 |
PCR 27000LE2 |
Lレンジ |
20 A |
30 A |
40 A |
60 A |
90 A |
Hレンジ |
10 A |
15 A |
20 A |
30 A |
45 A |
• 図7 出力電圧率—出力電流率(ACモード)
出力電圧設定値(ACvolt)が0 V~100 V(Lレンジ)または0 V~ 200 V(Hレンジ)の場合の出力電流率[%]:100
出力電圧設定値(ACvolt)が100 V以上(Lレンジ)または 200 V以上(Hレンジ)の場合の出力電流率[%]:
100/出力電圧率×100
• 図8 負荷力率—出力電流率
負荷力率が0.8より大きい場合の出力電流率[%]:100
負荷力率が0.8以下で順潮流の場合の出力電流率[%]:
30+負荷力率×70/ 0.8
逆潮流の場合の出力電流率[%]:30
• 図9 出力周波数—出力電流率
出力周波数(Freq)が40 Hz未満の場合の出力電流率[%]:
70+出力周波数×30/ 40
出力周波数(Freq)が40 Hz以上の場合の出力電流率[%]:
100
• 図10 瞬時出力電圧—瞬時ピーク電流率
(AC モードL レンジ、ただし三相3 線出力を除く)
瞬時出力電圧は出力電圧波形の瞬時値です。
出力電圧に50 V、100 V、150 Vを設定したときの瞬時出力電圧に対する瞬時ピーク電流率を示します。
たとえば、設定電圧100 Vにおける供給可能な瞬時ピーク電流は、瞬時出力電圧50 V時では定格電流(rms)の160 %に、瞬時出力電圧100 V時では定格電流(rms)の280 %になります。
三相3 線出力時は、他相の瞬時出力電圧によっても瞬時ピーク電流率の制限を受けます。
• 図11 瞬時出力電圧—瞬時ピーク電流率
(AC モードHレンジ、ただし三相3 線出力を除く)
瞬時出力電圧は出力電圧波形の瞬時値です。
出力電圧に100 V、200 V、300 Vを設定したときの瞬時出力電圧に対する瞬時ピーク電流率を示します。
たとえば、設定電圧200 Vにおける供給可能な瞬時ピーク電流は、瞬時出力電圧100 V時では定格電流(rms)の160 %に、瞬時出力電圧200 V時では定格電流(rms)の280 %になります。
三相3 線出力時は、他相の瞬時出力電圧によっても瞬時ピーク電流率の制限を受けます。
■ 定格電流値の求め方
ACモードにおける定格出力電流は、出力条件(出力電圧、負荷力率、出力周波数)に依存します。ある出力条件における定格出力電流値は、図7(出力電圧)と図8(負荷力率)から求めた出力電流率の積、または図9(出力周波数)から求めた出力電流率のどちらか小さい方を換算した値になります。
コントロールパネルの、LOADレベルメータのフルスケールは、定格電流値の1.1倍または電流リミット値の、どちらか小さい値です。
算出例
例1:出力電圧 80 V(L レンジ)、負荷力率 0.6、出力周波数 50 Hz
例2:出力電圧 250 V(H レンジ)、負荷力率 0.4、出力周波数 60 Hz
例3:出力電圧 80 V(L レンジ)、負荷力率 0.6、出力周波数 10 Hz
定格出力電流の条件を超えて使用すると、本製品の保護機能が作動して、出力電圧が垂下したり出力がオフになったりする場合があります。
例1:出力電圧 80 V(L レンジ)、負荷力率 0.6、出力周波数 50 Hz
図7より、出力電圧 80 Vにおける出力電流率は100 % - - - (a)
図8より、負荷力率 0.6 における出力電流率は82.5 % - - -- - - - - (b)
図9より、出力周波数 50 Hz における出力電流率は100 % - - - (c)
(a) と (b) の条件より、出力電圧 80 V、負荷力率 0.6 における出力電流率は、
(a)×(b) = 82.5 % - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - (d)
となります
(d) と (c) を比較すると、 (d) の方が (c) よりも低いため、(d) の値によって制限されます。
したがって、最大出力電流率は 82.5 % となります。
PCR6000LE2 の場合、Lレンジの最大定格出力電流は 60 A (単相出力時)のため、上記条件における定格出力電流は、
60×0.825 = 49.5 [A]
となります。
例2:出力電圧 250 V(H レンジ)、負荷力率 0.4、出力周波数 60 Hz
図7より、出力電圧 250 Vにおける出力電流率は80 % - - - (a)
図8より、負荷力率 0.4 における出力電流率は65 % - - - - - - (b)
図9より、出力周波数 60 Hz における出力電流率は100 % - - - (c)
(a) と (b) の条件より、出力電圧 250 V、負荷力率 0.4 における出力電流率は、
(a)×(b) = 52 % - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - (d)
となります。
(d) と (c) を比較すると、(d) の方が (c) よりも低いため、(d) の値によって制限されます。
したがって、最大出力電流率は52 % となります。
PCR6000LE2 の場合、出力H レンジの最大定格出力電流は30 A (単相出力時)のため、上記条件における定格出力電流は、
30×0.52 = 15.6 [A]
となります。
例3:出力電圧 80 V(L レンジ)、負荷力率 0.6、出力周波数 10 Hz
図7より、出力電圧 80 Vにおける出力電流率は100 % - - - (a)
図8より、負荷力率 0.6 における出力電流率は82.5 % - - - - - - (b)
図9より、出力周波数 10 Hz における出力電流率は77.5 % - - - (c)
(a) と (b) の条件より、出力電圧 80 V、負荷力率 0.6 における出力電流率は、
(a)×(b) = 82.5 % - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - (d)
となります。
(d) と (c) を比較すると、(c) の方が (d) よりも低いため、(c) の値によって制限されます。
したがって、最大出力電流率は (c) の77.5 % となります。
PCR6000LE2 の場合、出力H レンジの最大定格出力電流は30 A (単相出力時)のため、上記条件における定格出力電流は、
60×0.775 = 46.5[A]
となります。
■ 供給可能なピーク電流の求め方(単相出力時)
ピーク電流供給能力は、図10 および図11 の「瞬時出力電圧—瞬時ピーク電流率」に示すとおり、出力レンジ、設定電圧、瞬時出力電圧に依存します。
図12および図13は、各レンジの代表的な設定電圧における電圧波形(破線)に対して、ピーク電流が供給可能な範囲(2 本の実線で囲まれる範囲)を表しています。
瞬時ピーク電流は、瞬時出力電圧の波高値付近では定格最大出力電流の4倍(最大ピーク電流)となりますが、瞬時出力電圧の絶対値の低下とともに減少します。この範囲を超えて使用すると本製品の保護機能が作動し、出力電圧波形が歪んだり出力がオフになることがあります。
トランス、モータ、ランプ、コンデンサインプット整流回路等、突入電流が流れる負荷に対しては電流波形を確認のうえ、ピーク電流供給範囲を超えないよう余裕をもってお使いください。また、出力電流の実効値は、定格出力電流値まで、逆潮流の場合は定格出力電流の30 % までとしてください。
• 図12 電圧波形—ピーク電流供給範囲(AC モードL レンジ)
• 図13 電圧波形—ピーク電流供給範囲(AC モードH レンジ)
■ 供給可能なピーク電流の求め方(三相出力時)
三相出力においてもピーク電流供給能力は、図10および図11の「瞬時出力電圧瞬時ピーク電流率」に示すとおり、出力レンジ、設定電圧、瞬時出力電圧に依存します。
三相4線出力で使用する場合は、図10および図11内の「設定電圧」は「設定相電圧」に、「瞬時出力電圧」は「相電圧の瞬時値」に読み替えてください。
三相3線出力で使用する場合は、下図のように二相分の相電圧が直列接続されるため、他相の瞬時出力電圧によっても瞬時ピーク電流率の制限を受けます。このため他相の瞬時出力電圧が0 V付近の瞬時ピーク電流率は定格を下回ることがあります。
■ コンデンサインプット型整流負荷の場合
コンデンサインプット型整流回路を入力に持つ電子機器などの場合、出力電流としては、出力電圧のピーク付近で出力電流実効値の数倍のピーク電流が流れます。
図10 ~図13 に示すとおり、瞬時出力電圧の波高値付近で最大ピーク電流は定格最大出力電流の4 倍までとしてください。
*: 出力Lレンジでは100 Vに、出力Hレンジでは200 Vになります。
出力電流の実効値は、負荷力率1 として算出される定格出力電流値までとしてください。
上記の定格出力電流(ピークまたは実効値)を超えて使用すると、本製品の保護機能が作動し出力電圧波形が歪んだり出力がオフになることがあります。
なお、上記の最大ピーク電流を歪なく供給できる条件は、出力電圧(設定値)が一定の場合です。出力電圧設定値を急変(上昇)させた場合等は、電圧・電流波形に歪を生じる場合があります。電源ライン異常シミレーションやシーケンス動作を行っている場合でも、出力電圧が変化する際には同様に歪を生じる可能性があります。出力電圧設定値が一定でOUTPUT をオンにした場合には、歪なく最大ピーク電流を供給することができます。
■ 突入電流が流れる負荷の場合
下記のような負荷の場合、負荷への電圧印加時、または電圧急変時に出力周波数の数サイク ル~数十 サイクルの間、突入電流(定常時の数倍~数十倍以上)が流れようとします。
• トランス、スライドトランス(スライダック)負荷
トランス、スライドトランス負荷に電圧を印加した場合、電圧印加のタイミングまたは残留磁気の状態により、数サイクルの間、最大で定常電流の数十倍 ~数百倍の突入電流が流れようとします。
• モータ、ランプ負荷
モータ、ランプ負荷に電圧を印加した場合、数十サイクル ~数百 サイクルの間、数倍~数十倍の突入電流が流れようとします。
• コンデンサインプット型整流負荷
コンデンサインプット型整流回路を入力に持つ電子機器では、突入電流に対する保護(制限)回路を持っていない場合には、数サイクルの間、数十倍 ~数百倍の突入電流が流れようとします。
本製品はコンデンサインプット型整流負荷に対して、図10 ~図13 に示すとおり、瞬時出力電圧の波高値付近で最大ピーク電流を定格最大出力電流の4 倍まで供給できます。
そのほかの負荷では、設定されたトリップタイム(TRIP TIM)の間、出力電流の実効値が定格出力電流値を超えても、瞬時ピーク電流率 200 % を上限に、瞬時ピーク電流を供給できます(電流波形、出力電圧、出力周波数などにより異なります)。
TRIP: ENABLE、出力電圧: 100 V、出力周波数: 50 Hz における供給可能な瞬時ピーク電流値の例を下表に示します。
負荷力率 |
瞬時ピーク電流率*1[%] |
1.0 |
200 |
0.9 |
160 |
0.8 |
150 |
0.6 |
140 |
0.4 |
120 |
0.2 |
110 |
*1. PCR-LE 2シリーズの最大出力電流を100 % とした時の出力電流率
上記のピーク電流を超える突入電流が流れた場合、本製品の保護回路が作動し出力電圧波形が歪んだり出力がオフになったりすることがあります。
特にトランスやモータ等の誘導負荷の場合、保護回路が作動して出力がオフになると、誘導負荷から逆起電圧が発生して出力端子に設定値を超える電圧が発生することがあります。
■ サージが発生する負荷の場合
負荷への電圧印加時または電圧急変時にサージを発生する負荷(蛍光灯など)の場合、サージ発生時に本製品の誤動作が起きることがあります。このような場合には、出力ケーブルにノイズフィルタなどを接続してください。
■ 特殊な負荷の場合
OUTPUT 端子台または OUTPUT コンセントに直接コンデンサを接続すると、出力波形に異常が発生することがあります。このような場合には、コンデンサを出力配線の負荷側へ接続してください。
本製品から取り出せる直流定格出力電流は、出力電圧によって制限されます。
出力電圧率:
出力電圧100 V(Lレンジ) / 200 V(H レンジ)を 100 % とした時の百分率です。
出力電流率:
最大定格出力電流を100 % とした時の百分率 です。
最大定格出力電流:
単相出力
|
PCR 6000LE2 |
PCR 9000LE2 |
PCR 12000LE2 |
PCR 18000LE2 |
PCR 27000LE2 |
Lレンジ |
42 A |
63 A |
84 A |
126 A |
189 A |
Hレンジ |
21 A |
31.5 A |
42 A |
63 A |
94.5 A |
単相3線出力/三相出力
|
PCR 6000LE2 |
PCR 9000LE2 |
PCR 12000LE2 |
PCR 18000LE2 |
PCR 27000LE2 |
Lレンジ |
14 A |
21 A |
28 A |
42 A |
63 A |
Hレンジ |
7 A |
10.5 A |
14 A |
21 A |
31.5 A |
• 出力電圧率—定格出力電流特性(DCモード)
電圧の極性が時間で交互に変化する電源の場合、抵抗負荷とは異なるインダクタやコンデンサ負荷では、電圧に対する電流の時間関係(位相)に遅れや進みが生じます。
電流の遅れや進みが生じると、電圧と電流の極性の組み合わせは、電圧が正負2極、電流が正負2極で、4通りになります。この動作を電圧(縦軸)と電流(横軸)を直交させたグラフで表すと、第1象限動作から第4象限動作までのすべての領域(4象限動作)になります。
第1象限と第3象限の出力電流率[%]:
出力電圧設定値(DCvolt)が0 V~100 V(Lレンジ)または0 V~ 200 V(Hレンジ)の場合:100
出力電圧設定値(DCvolt)が100 V以上(Lレンジ)または 200 V以上(Hレンジ)の場合: 100/出力電圧率×100
第2象限と第4象限の出力電流率[%]:
出力電圧設定値(DCvolt)が0 V~100 V(Lレンジ)または0 V~ 200 V(Hレンジ)の場合:21
出力電圧設定値(DCvolt)が100 V以上(Lレンジ)または 200 V以上(Hレンジ)の場合: 100/出力電圧率×21
直流定格出力電流を超えて使用すると本製品の保護機能が作動して、出力電圧が垂下したり出力がオフになったりすることがあります。
交流電源 PCR-LE2シリーズ
付録